【元救急救命士が警告】震災で車中避難する人の3割に血栓が…エコノミー症候群を防ぐ7つの対策

みなさんこんにちはっ!みんなの隊長です。

今回は車中泊好きの私、そして元救急救命士として「エコノミー症候群」の怖さを発信します。

「避難所より車の中の方が安心」

その判断が、命を奪うことがあります。

熊本地震(2016年)。避難した人の約7割が車の中で過ごしました。そして、その車中泊をした人の約3割に足の静脈血栓が確認されたという調査結果があります。

血栓は「沈黙の凶器」だ。足の中で静かに育ち、ある瞬間に肺へ流れて肺塞栓症を引き起こします。呼吸困難、胸痛、そして——突然死。

自分は元救急救命士として、「地震で助かったのに、なぜ」という思いが強くあります。

この記事では、なぜ車中避難でエコノミー症候群が起きるのか、そして今すぐできる具体的な対策をしてもらいたいと思い記事にします。

車を「命の避難場所」にするために、知っておいてほしい。

それではいってみましょう!


そもそも日本は、いつでも「次の災害」が起きる国

日本でマグニチュード6以上の地震が発生する頻度は、世界全体の約17.9%。国土面積が地球全体の0.25%しかない国で、世界の地震の約1/5が集中しています。

地震だけではありません。台風・豪雨・土砂災害。日本は「災害が来るかどうか」ではなく、「次はいつ来るか」を考えるべき国です。

実際に近年起きた主な震災・水害を見てみましょう。

災害名 主な被害
新潟県中越地震 2004年 死者68人。車中泊者の約3割に血栓確認
東日本大震災 2011年 死者・行方不明者約2万2,000人
熊本地震 2016年 死者263人中、約8割が災害関連死
西日本豪雨 2018年 死者・行方不明者約270人
能登半島地震 2024年 多くの避難者が車中泊を選択

これだけ頻繁に起きているにもかかわらず、「車中泊避難でのエコノミー症候群」を知っている人は、まだ少数と感じます。


なぜ「避難所より車」を選ぶのか

「避難所に行けばいいじゃないか」と思う人もいるでしょう。でも現実は、そう単純ではないんです。

熊本地震のアンケートでは、避難した人の約7割が「車の中」を経験しました。その理由は複数あります。

  • プライバシーが守れる(体育館での雑魚寝は精神的につらい)
  • ペットと一緒にいられる(避難所はペット不可が多い)
  • 子どもへの気遣いが不要(夜泣き・走り回りで周囲に迷惑をかけたくない)
  • 余震が怖い(建物の中より車の中の方が安心感がある)
  • 避難所が満員・不衛生(トイレが少ない、感染症が怖い)

どれも理解できる理由です。

だからこそ、「車中避難をするなら、これだけは知っておいてほしい」という思いでこの記事を書いています。


エコノミー症候群とは何か——元救急救命士として解説する

正式名称は「深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症」

長時間同じ姿勢でいると、足の深いところにある静脈の血流が滞ります。そこに血の塊(血栓)ができる。これが「深部静脈血栓症」です。

問題はここから。その血栓がはがれて血流に乗り、肺の血管を詰まらせる——これが「肺血栓塞栓症」。エコノミー症候群の本当の怖さはここにあります。

症状は突然やってきます。

  • 急な息切れ・呼吸困難
  • 胸の痛み
  • 血痰
  • 意識消失・突然死

怖いのは、血栓ができている間は無症状であること。足のむくみや痛みを感じる人もいるが、まったく気づかないまま重篤化するケースも多い。

救急の現場でこれを目の当たりにしたとき、自分はいつも「もっと早く気づければ」と思っていました。だから今、予防の話を届けたいと感じます。


エコノミー症候群が車中避難で起きやすい3つの理由

医学的には「Virchowの三徴」と呼ばれる、血栓ができやすい3つの条件があります。車中泊は、この3つが全部そろってしまう環境になります。

①血流の停滞(長時間同じ姿勢)

車のシートは体をV字に曲げた状態になりやすい。この姿勢が数時間続くと、膝の裏や太もも付け根の静脈が圧迫され、血流が滞ります。飛行機のエコノミークラスと同じ、あるいはそれ以上に窮屈な空間です。

②血液の凝固(脱水状態)

避難中は「トイレに行きたくない」という心理から、意識的に水を飲まなくなる。脱水状態になると血液がドロドロになり、血栓ができやすくなる。これが致命的に危ない。

③血管の損傷(ストレス・低体温)

災害時の精神的ストレス、寒さによる低体温、そして怪我。これらがすべて血管壁にダメージを与える。特に冬場の車中避難は、体が冷えることで血管が収縮し、さらに血流が悪化させます。


地震だけじゃない——どの災害で起きているのか

エコノミー症候群は「地震のときだけ」ではありません。

災害の種類 車中泊との関係
地震 余震が怖くて建物に戻れず、長期間車中泊になりやすい。熊本・新潟・能登で多数確認
豪雨・水害 浸水で自宅に戻れず、車を高台に移動して泊まるケースが増加。西日本豪雨でも発生
台風 建物崩壊・停電で自宅が使えず、車内待機が数日に及ぶことも
火山噴火 避難指示で自宅を離れ、指定避難所に入れない場合に車中泊

つまり、あらゆる災害で車中泊避難は起きうる。そして毎回、エコノミー症候群は問題になります。


こんな人は特に要注意——あなたは大丈夫ですか?

誰でもなりうる病気だが、特にリスクが高いのはこんな人です。

  • 高齢者(血管の弾力が低下)
  • 妊娠中・産後の女性(血液が固まりやすい状態)
  • 過去に脳梗塞・心筋梗塞・深部静脈血栓症の既往がある人
  • 肥満の人
  • 喫煙者
  • 長時間動けない状態の人(怪我・高齢・障害など)

ただし、熊本地震で亡くなった方の中には50歳以下の女性が多かったというデータもあります。「自分は若いから大丈夫」は絶対に禁物。


今すぐできる7つの対策

難しいことは何もありません。知っているかどうか、それだけで生死が分かれることがあります。

①1〜2時間おきに体を動かす

車から出て歩く、足首をぐるぐる回す、踵の上げ下げを繰り返す。タイマーをセットして、定期的に強制的に体を動かすクセをつける。

②こまめに水を飲む

「トイレに行きたくないから水を控える」は最悪の選択になります。脱水で血液がドロドロになり、血栓リスクが跳ね上がる。1時間ごとにコップ1杯(200ml)を目安に飲む。アルコール・カフェインは脱水を促進するので避ける。


③着圧ソックスを履く

足の血流を助ける着圧ソックス(弾性ストッキング)は、エコノミー症候群予防の鉄板アイテム。防災袋に1足入れておくことを強くオススメします。医療用が理想ですが、市販品でも効果は期待できます。

※就寝時は着圧の弱いゆったりした靴下に履き替える


④シートをできるだけフラットにする

足を心臓より高い位置に置くことで、血液が戻りやすくなります。ミニバンやSUVならシートをフラットにできる。フットレストや荷物で足元をかさ上げするだけでも効果がありますよ。


⑤体を冷やさない

冷えると血管が収縮し、血流がさらに悪化します。毛布・電気毛布・カイロなどで体を温めることが血栓予防にも直結。ポータブル電源があれば電気毛布が使えるので、防災セットとしてかなり有効となります。

⑥トイレを我慢しない

「夜中にトイレに行くのが怖い」「行きたくないから水を飲まない」——この悪循環が命取りになります。熊本地震で亡くなった7人は、全員が夜間のトイレを控えていたというデータがあるぐらいです。

⑦足のむくみ・違和感を見逃さない

片足だけのむくみ、ふくらはぎの痛みや熱感があれば要注意。すぐに医療従事者か救護所に相談してほしい。息苦しさや胸痛が出たらためらわず119番を


車中泊を「安全な避難」にするために——今日から準備できること

車中泊避難は、悪い選択ではありません。プライバシーが守れる、ペットと一緒にいられる、余震が怖い——どれも正当な理由です。

ただ、「備え」があるかどうかで、その安全性はまったく変わります。

自分が車中泊好きの元消防士として、実際に揃えているものをまとめておきます。

  • 着圧ソックス(防災袋に常備)
  • 大容量の保温ボトル(水分補給用)
  • 電気毛布 + ポータブル電源(体を温めながら快適に過ごす)→ EcoFlow DELTA 2レビュー記事はこちら
  • フットレスト(足を上げるため)
  • 毛布・ブランケット(体温維持)

「日常でも使えて、いざという時の備えになる」——これが自分の防災グッズ選びの基準となります。



よくある質問(エコノミー症候群 × 車中泊)

Q. 1〜2日の車中泊ならエコノミー症候群にならないですよね?

A. 危険です。新潟県中越地震では1〜2日で血栓が形成された事例が確認されています。「短期間だから大丈夫」という思い込みが最も危険です。元救急救命士として、24時間以内でもリスクはあると断言します。

Q. 子どもや若者はエコノミー症候群になりにくいですか?

A. 基本的には高齢者や持病がある方がハイリスクですが、子どもでも脱水・長時間同姿勢が続けばリスクはあります。特に小さな子どもを抱えて身動きが取れない親御さんは要注意です。

Q. 着圧ソックスは普通の靴下と何が違うの?

A. 着圧ソックスはふくらはぎを適度に圧迫して静脈血流を促進します。普通の靴下にはこの機能がありません。防災袋に1足入れておくことを強くおすすめします。

Q. 車内で足を動かす運動はどんなことをすればいい?

A. 最も簡単なのは「足首の上下運動」(つま先を上下に動かす)と「ふくらはぎの締め付け・緩め」です。1〜2時間に1回、10回程度で十分です。スペースがあれば外に出て数分歩くだけでも効果大です。

Q. エコノミー症候群になったかもしれない時のサインは?

A. 片足だけのむくみ・痛み・熱感・赤みが出たら要注意です。さらに急に息苦しくなったり胸が痛い場合は肺塞栓の可能性があり、すぐに救急要請してください。元救急救命士として、「様子を見る」のが最もリスクが高い行動です。


まとめ:車の中で「生きのびる」ために

対策 ポイント
①体を動かす 1〜2時間おきに足首運動・歩行
②水を飲む 1時間ごとにコップ1杯。アルコール・カフェイン禁
③着圧ソックス 防災袋に必ず入れておく
④体をフラットに シートを倒し、足を高くする
⑤体を冷やさない 電気毛布・毛布・カイロで保温
⑥トイレを我慢しない 水を飲んで、動いてトイレに行く
⑦違和感を見逃さない 片足むくみ・胸痛は即座に救護所へ

現場で命を守れるかどうかは、「知っているかどうか」で決まることがとても多いです。

この記事を読んだあなたは、もう知っています。あとは備えるだけです。

家族に、友人に、ぜひ伝えてほしい。

それではこのへんでっ!